不動産業界

不動産業界の不祥事|スルガ銀行とレオパレス21の裏話

株式会社スマートデイズのシェアハウス(かぼちゃの馬車)で数百人の被害者が出たのを発端に、スルガ銀行の不正融資が世間を騒がせました。

以降、レオパレス21でも違法建築トラブルについての報道が相次ぎ、不動産に関する不祥事が続いています。

この記事では、これらに関連する体験談と、その後の経過等についてまとめてみます。

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レオパレス21の不祥事

以前、賃貸関連の仕事でレオパレス21に問い合わせをしたことがありました。

その際、電話の向こう側からは、誰かを罵倒する声が聞こえていました。

瞬間的に、「あまり良い会社ではないな」と思った記憶があります。

 

先日、そのレオパレス21の物件で、界壁の施工が無い物件が複数存在する事が発覚しました。

界壁というのは、屋根裏の空洞部分に、1世帯のスペースごとに仕切りをする壁の事です。

 

これによって、火災が起きた時の延焼を遅らせる効果があり、建築基準法で義務付けられている工事です。

つまり、界壁の無い建物は、日本には存在してはいけない建物という事です。

 

2019年2月、レオパレスは、新たに最大1,324棟の物件において、壁や天井等に施工不良が見つかったとの発表をしています。

1996年から2001年に着工した物件だけで、これだけの棟数の不具合があるのですから、まだまだ施工不良物件は存在していると考えた方が良さそうです。

 

70億円程度と見込んでいた特別損失は、400億円以上の規模になりそうです。

補修工事に関する特別損失が出るたびに株価が下落していく可能性がありますので、株取引をする人は注意しましょう。

 

界壁だけではない問題点

レオパレス21には、これ以外にも多くの問題点があるようです。

家賃保証の話が違うとか、家電と家具の入れ替えを約束した契約がきちんと履行されない等といったトラブルが後を絶ちません。

 

界壁を付けない事で得られる不当な利益は、ほんの数十万円のレベルです。

トラブルになった際の事を考えると、随分とリスクの高い手抜き削減手法だと思いませんか?

 

火災が起きた際には人命に関わりますから、賠償額は補修工事レベルでは済まないのは誰にでも想像できそうな事です。

そんな物件がいくつもあるのですから、どれだけ想像力が無い会社であるかが伺えます。

 

最近では、界壁以外の部分においても、施工不良が相次いで見つかり始めました。

アパートの外壁の内部に使用する断熱材については、建売住宅等でも「グラスウール」と呼ばれるものを使用することが多いです。

レオパレスも、これを用いると申請していましたが、実際には「発泡ウレタン」を用いていたそうです。

 

グラスウールは断熱性・耐火性が高いものですが、発泡ウレタンは耐火性が劣るので外壁への使用は認められていません。

 

同社は、「法令違反の認識はなく、現場の施工管理体制が不十分だった」と説明しているそうですが、業界人からすれば有り得ない話なのは明らかです。

設計に落とされた部材と異なることに現場が気付かない可能性は低いですし、施工する職人達も「これでやるの?」と施主に確認するはずだからです。

 

施工不良の件数も多く、うっかりミスとは考えられません。

組織的に現場の職人にまで指示が出ていたことはすぐに判明するのではないかと見ています。

 

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スルガ銀行の話

以前、私の顧客に自営業を営んでいる方がいました。

申告状況の都合で、一般的な金融機関では住宅ローンの融資が受けられない状況でした。

そんな時、スルガ銀行の行員に「うちは自営業の人が得意ですよ」と言われていたのを思い出し、問い合わせをしてみたのです。

 

すると、「今月中なら、なんとか融資が出せる」と言うのです。

住宅ローンの審査基準が時期によって変動することは無いはずですが、彼等はそのように説明して急かしてきました。

おそらく、ノルマ的な事情から、月内での成績にしたかったのでしょう。

先日の報道では、不動産会社と結託して通帳の改ざんまで行っていたというのですから、とても銀行とは思えない体制です。

 

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スルガ銀行の闇

私が最初に驚いたのは、その金利の高さでした。

金利が4%以上の設定だったので、住宅ローンでさすがにこれは無いと思い、顧客に説明をして中止を促しました。

しかし、その顧客は商売が軌道に乗った所だった事もあり、借りられるのならそれでも買いたいと言いました。

 

リスクを承知で借りると言われてしまえば、それを手伝うしかないので、話を進めていきました。

しかし、私は再びスルガ銀行に驚かされます。

 

契約内容を確認すると、繰り上げ返済に制限があり、しかも他行への借り換えも禁じていたのです。

それも、最後の方に小さく記載されていました。

要するに、「うちから借りたら、ある程度の金利は絶対払ってもらいますよ」と書いてあるようなものです。

 

顧客の決断

私は、気付いた点を顧客に報告しましたが、それでも購入する決断をされました。

顧客に不利益な契約内容でしたが、納得されてしまえばどうすることも出来ません。

他で借りる事ができない人の弱みにつけ込み、高額な金利で貸すスタイルは、巨大な闇金といった印象です。

おそらく、多少の貸し倒れが発生しても、他の案件での利益率がバブル時代並なので、業績自体は右肩上がりでしょう。

今回の不祥事を機に、法的なメスが入る事を激しく期待します。

 

不動産業界の闇は深い?

不動産業は儲かる商売なので、昔からお金目当てで算入する輩は多かったのだと思います。

その中には、勢いで成功してしまう会社もあり、今でも業界の膿として存在し続けています。

 

ハウスメーカーの中にも、今後ニュースを騒がせることになりそうな企業があります。

誰でも知っている、超有名な大手ハウスメーカーです。

こちらも、地主に対して不当な契約をし、破産に追いやっているケースが散見されています。

 

大手企業でも、良い噂を聞かない企業というのはいくつか存在します。

そして、内部体制が腐りきっているとしか思えない仕事をしています。

火の無い所に煙は立たない」というやつで、ブラック企業には必ず噂があります。

就職・転職の際には気を付けてください。

 

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相次ぐ不祥事

このところ、スルガ銀行の不祥事発覚の終止符が打たれる気配がありません。

シェアハウス投資向け融資では、案件の99%が承認されていたそうです。

これでは、審査は無いのと同じだったという事です。

 

これまで、2千億円を超える融資が行われており、今後は400億円超の貸し倒れが発生する可能性があります。

実際、貸倒引当金を400億円超で計上しており、これを受けて株価はストップ安をつける有様でした。

 

99%の融資を実現するには、確実に不正な改ざんが必要になります。

顧客の預金額や年収を水増ししなければ、99%の融資が実現することはあり得ません。

しかも、融資金利は8%前後と高額な設定になっているケースが多いようです。

金利が高くなれば、収支計画が悪化するはずなので、本来なら審査は通り難いはずですよね。

 

上層部の体制自体が腐敗していて、不正をして融資を増やすよう指示していない限り、不可能な融資実績です。

スルガ銀行自体に大きな問題があるのは明らかですが、このような規模の金融機関の不祥事を監視する仕組みが無かった事も大問題だと思います。

 

スルガ銀行のその後

2018年10月5日

金融庁から一部業務停止命令が発令され、不動産投資向けの新規融資を6カ月間禁止する措置がとられ、不正な資料の改ざんの他、ファミリー企業への不透明な融資も明るみに出る。また、反社会勢力への融資まで存在していた事が判明。

一部業務停止命令だけで良いのかという疑問さえ出てくる事態になっている。

 

2018年11月

シェアハウスなどへの不適切融資で多額の損失を招いたとして、岡野光喜元会長ら9人に連帯して総額35億円を支払うよう求める損害請求訴訟が静岡地裁に提起された。

 

2018年11月14日

同日発表された中間決算では、貸倒引当金の大幅積み増しにより、985億円の連結純損益となっています。

自己資本率は、8.65%まで低下したものの、国内銀行に求められている自己資本基準は4%である為、現時点ではまだ基準を大幅に上回れている状態となっています。

とはいっても、スルガ銀行へのイメージは決して高まることはないでしょうし、今後の業績についても当分は低迷しそうです。

巨大な闇金と化したスルガ銀行の腐敗体制をどのように改善し、監視していくのかが今後の課題となりそうです。

 

2018年11月30日

金融庁から一部の業務停止と業務改善の命令を受けていたスルガ銀行は、金融庁へ業務改善計画を提出。

この中で、執行役員ら計117人を停職や減給などの処分にしているとのこと。

計画には、不祥事の背景について記載されている箇所があり、「長年の創業家支配により、創業家本位の企業風土が醸成された」との記述があった模様。

企業統治や法令順守が機能しなくなり、「顧客本位の業務運営の姿勢を欠く状況となっていた」と説明しているらしい。

 

2019年5月

スルガ銀は201810月に6カ月間の業務停止命令を受けた後、シェアハウスや中古マンション等への不動産投資向け融資約1.8兆円について再調査を進めていた。

結果、資料改ざんなどの不正やその疑いがある融資額が総額で6,400億円に上り、不動産投資向け融資全体の6割を占めるとの調査結果を発表した。

 

2019年11月

スルガ銀行のシェアハウス向け融資の不正多発問題に、久々の進展がありました。

同行が一部の物件オーナーに対し、不動産の譲渡と引き換えに借金をなくす方向で検討を進めていると報道されました。

難航していた交渉は、早ければ来春にも決着する可能性があるそうです。

 

まとめ

私は、不動産業界にクリーンな会社しか生き残れない時代が来ることを願って止みません。

一日も早く、そんな時代が到来するように、どんどんブラック企業が明るみに出ると良いと思っています。

 

私達にできる事は、そのような企業を利用せず、就職や転職もしないことです。

顧客と人材が確保できなければ、消滅へと向かうことになるからです。

就職先の選別は、不動産業界のために私達が努力できる事の一つかもしれませんね。

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