不動産売却サポート業務は、大手不動産会社の専売特許ともいえる仕事です。
小さな会社は、ブランド力が無いので売却依頼が少ないのです。
そんな、大手不動産会社の売却活動には、とても悪質な事例が存在します。
最近では減って来てはいるものの、不動産業界では結構有名な話です。
業界人しか知らない不動産売却の実態についてご紹介しますので、参考にしてください。
嘘の営業手法
今回ご紹介するのは、大手不動産会社による、不動産売却の悪質な売却手法です。
本当に性質の悪い手口で、業界内でも嫌う人が多い企業の話です。
企業名については伏せますが、業界でも知名度の高い大手不動産会社です。
営業マンの独断で横行したのかもしれませんが、会社側が黙認しているのは明らかなので、社風と言って良いでしょう。
この企業は、ビラ撒きのアルバイトを使って、継続的に売却案件を募集しています。
こうして獲得した売却依頼に対し、必ず『専任媒介契約』を締結するように話を進めていきます。
一般媒介契約では、他社にも販売されてしまう為、悪徳手口が使えなくなるからです。
表向きは、「専任媒介契約は広告費を使えるので早く売れる」等と説明されていますが、この会社に関しては、それが本当の理由ではありません。
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販売開始後の嘘
大手不動産会社では、定期的に広告チラシでの販売活動をしますので、その中に物件情報を掲載します。
顧客からすれば、専任媒介契約として、広告メリットが達成されたようにも見えるでしょう。
しかし、実際には、その物件だけに集中してお金をかけているわけではありませんし、「ついでに掲載する」といった感覚です。
小さく掲載するだけで、後は何もしません。
そして、仮に一般客から問い合わせがあっても、その物件を勧めることもしません。
「他の物件の方が良いですよ」等という提案をし、新築物件を売ろうとするのです。
何故、そんなことをするのか想像できますか?
これには、驚くような理由があります。
少し説明が必要なので、順を追ってお話ししていきます。
売主への報告
専任媒介契約を締結した場合、不動産会社には売主への報告義務があります。
宅建を持っていない人の為に説明しておきますが、この報告は2週間に1回以上しなければなりません。
この報告の際、いよいよ悪徳手法が発揮されます。
売主には「広告活動をしたけれど、見込み客に気に入ってもらえなかった」等、適当な既成事実で報告をします。
見た目には、全て本当のように見えますし、嘘だと証明することは難しいでしょう。
そうやって、買い手が付かないという状況を長引かせ、販売価格を下げさせようと考えているのです。
一方、売主は、この報告を信じて「少し値下げするかな・・」等と考え始めます。
売主が値下げを決断し、物件価格を下げても、彼等は相変わらず売ろうとはせず、引き続き放置します。
要するに、業者が土地仕入れで購入できるくらいの価格まで下げさせるのが狙いなのです。
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物件確認での嘘
悪徳手法で販売活動をする業者に物件確認をすると、あるはずの物件を「ウリドメです」と言ってくることがあります。
ウリドメとは、簡単に言えば、顧客の都合で販売活動を中止しているか、購入の申込みが入っている等という意味です。
販売を開始したばかりで、しかも大して安くもない物件が、「ウリドメ」と言われたら、「本当に?」と思いますよね。
仮に、本当だったとしても、そんな状態が数か月も続くわけがありませんよね?
しかし、しばらく経って確認すると、やはり「ウリドメです」と言われます。
申し込みがあったなら、とっくに契約まで終わっているはずですから、明らかに嘘だと分かるわけです。
専任媒介契約なので、他の不動産会社は、売主本人に真相を聞くことが出来ません。
専任の会社を通してしか、その売主とは取引ができないからです。
紹介できる顧客がいても、担当者が売らせてくれなければ、諦めて他の物件を紹介するしかありませんよね。
こうして、このような物件は売れないまま放置されてしまうことになります。
この業界にいれば、このような不自然なウリドメはすぐに分かります。
そもそも売りたくて売却依頼している人が、そんなに長く活動を停止することは滅多にないはずですよね?
それなのに、複数の物件でそのような状況が確認されるのです。
たちまち営業同士で噂になり、悪事が起きているという情報は共有されます。
結果、その会社の物件を避けるようになり、更に売れにくくなるのです。
売主は、まさか自分の担当者が販売を阻害しているとは思わずに、「なかなか売れないものだ」と思っているのです。
完全に詐欺ですよね。
悪質手口の目的
このような悪質な活動をされている事を知らない売主は、こう考えます。

すかさず、担当営業が価格を下げましょうとアドバイスをし、相場よりも安く販売させます。
しかし、彼等はそれでも売る気は無く、相変わらず他社の問い合わせに対して「ウリドメです」と言い続けます。
そして、タイミングを見計らって、買主に買い取り業者へ売ることを提案するのです。
買主は、売れない状況に疲れてきていますし、すぐに現金化できてトラブルも無い等と言われるので了承してしまいます。
更に、この悪質手法は、これで終わりではありません。
ここからが、彼等の本当の狙いと言っても良い部分です。
悪質手法の第二段階
買い取り業者というのは、建売住宅の販売会社です。
仕入れ価格で購入するので、相場よりもかなり安く買い叩かれます。
それでも、契約すれば、売主と買主の両方から仲介手数料がもらえます。
こうして、物件を卸す事に成功した担当者は、売却先の建売業者とある約束をしています。
この物件を建売業者が販売する際、最初に販売活動をする権利をもらう約束です。
建売物件は、最初に広告を打った会社が多くの反響を得ることになります。
つまり、次の見込み客の獲得に繋がるわけです。
それに、この新築物件が売れれば、売主と買主の両方から仲介手数料を受領できます。(同じ土地で2回目)
本来であれば、売主からしか仲介手数料をもらえない案件を、人を騙すことによって二重に利益がとれる形に変える悪質な手法です。
この悪徳手法を使えば、仲介手数料が最大2回分になる可能性があるのです。
売却の際には、売主と建売業者から仲介手数料がもらえます。
建築後、建売物件を販売すれば、買主と建売業者から再び仲介手数料が発生するのです。
同じ土地で何度も稼ぐことが出来る上、新規物件で集客にも利用できるというわけです。
本当に自分達の事しか考えていない最低の手法です。
まとめ
このような手法は、全ての物件で行われているわけではありません。
条件が合う物件が出た時だけ、彼等の常套手段として使用されるようです。
このような手法を避けるには、一般媒介で他の不動産業者と競わせるか、本当に信頼のできる企業に専任で任せることがベストです。
誠実な会社もたくさんありますので、選別眼を持って依頼してください。
これから不動産業界に入る予定の人と、これから売却を考えている人にこの記事が届くことを願っています。