規模の小さな不動産会社では、フルコミ部隊を抱えてる事があり、このような形態では、とても歩合率が高い特徴があります。
最近は、フルコミ希望の人達に向けた事務所を提供する会社も出てきました。
不動産営業としてフルコミの形態を選ぶ時には、それなりの勇気も必要になりますが、少し視点を変えると、そのリスクの本当の姿が見えてきます。
この記事では、不動産営業がフルコミッションで働く際のリスクについてご紹介します。
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給与体系の選択ミス
私は、不動産営業マンとしての全盛期に、給与体制の選択で大きな過ちを犯しました。
その会社では、基本給+歩合の形態と、フルコミッション形態を選べることになっていたのですが、将来不安等もあり、この時の私は、基本給型を選択したのです。
しかし、後から思えば、これは大きな過ちでした。
結果的に、当時の私は、フルコミを選択するのが正解だったのです。
その理由は、経費が使えない事が大きな要因になります。
住民税や所得税等を考えると、遥かに収入が増えていたはずなのです。
フルコミの場合、個人事業主として確定申告するので、経費として落とせる部分も広がり、かなりの節税効果が見込めたはずですよね。
サラリーマンのままで給料をもらうと、普通に10%が徴収されることになるのです。
節税対策のミス
当時、基本給型として給与を受け取っていて驚いたのは、住民税の高さです。
最も多い年には、住民税だけで100万円位支払った記憶があります。
もしも、フルコミを選択していれば、車両購入や諸経費等も経費にできていたはずですから、税金の支払いも抑えることができました。
ガソリン代やスーツ購入、携帯電話等も全て経費ですから、申告額はかなり違っていたはずです。
もしも、フルコミを選択していれば、手元に残るお金が数百万円増えていたかもしれません。
知識が無かった為に、無駄な税金を支払ってしまったのです。
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安定とは何か
その後、私はステップアップの為の転職をしたので、あの時にフルコミを選択していたとしても、結局はサラリーマンに戻れたわけです。
何を心配していたのか、自分でもよく分かりません。
当時は、自分がどれだけの成績を出せるかを想像できなかった事もあり、基本給を選んでしまったのです。
今現在、フルコミを選んだとしても、転職すれば、次の会社では給与型になるという発想がありませんでした。
フルコミに対して大きなリスクを感じるのは当然なのですが、世の中を知るほどにそのリスクは小さなものだと気付きます。
一生その会社に居るわけでは無いでしょうし、自分で店を出すわけでもありません。
それに、会社が潰れてしまえば、基本給なんて関係無いということに気付いていませんでした。
独立のリスク
若くして独立し、自分の店を持つ人はたくさんいますよね。
業種が何だとしても、独立するだけで相当な勇気が必要ですから、本当にすごい事だと思います。
フルコミもある意味では独立のようなものですが、お店を持つリスクと比較すればその差は歴然です。
だって、出店費用や免許登録時の費用もかからないのですから。
フルコミを選択する人は、それなりの営業力を持っている人でしょう。
ですから、契約がとれなくて収入が無くなるリスクは意外に小さいと思います。
しかも、いつでも辞めることが出来て、採用先があればまたサラリーマンに戻ることも可能です。
そして、成績が良かった時の収入は、かなり高いものになるでしょう。
おそらく、本当に自分の力で独立した人から見れば、フルコミはとても小さなリスクにしか見えないのではないでしょうか。
実際、フルコミ形態で活動している人の中には、税理士等からの紹介案件だけで充分にやっていけている人がいます。
フルコミは自信次第
腕に自信があり、将来の独立を考えているような人は、一度はフルコミでの戦いに参加してみても面白いと思います。
申告関連の勉強にもなるでしょうし、ある程度の貯金があればチャレンジとして良いと思います。
現在、大手不動産会社に勤めているような人にはオススメしませんが、小~中規模の会社で一定の実力がある人なら、チャレンジしてみる価値があるかもしれません。
今と同じ成績を維持するだけでも、結構年収が高くなることもあるはずです。
考えてみれば、フルコミで食べていけない人が独立をしても失敗する可能性が高いのですから、将来の独立を考えているなら、まずはフルコミで成功を収めて自信をつけるのも一考だと思うのです。
フルコミ所属の注意点
フルコミで働く時には、注意して欲しい事があります。
それは、「名義貸し」に該当しないように気を付ける事です。
宅建業法では、宅建業の免許を貸す行為が禁止されていますよね?
しかし、実際には、事実上の名義貸しでフルコミ要員を募集している会社があります。
フルコミ営業が顧客から仲介手数料を受領したら、そのお金は一度不動産会社に入りますよね?
この利益の50%以上を報酬として支払う形態をとると、「本来なら宅建免許を取らなければいけない人に免許を貸しているだけ」とみなされてしまう可能性があります。
歩合率が80%!なんていう設定をしている会社がありますが、これって「名義貸ししています!」と宣言しているようなものなのです。
つまり、いつ免許停止になるか分からない業者に在籍し、しかも名義貸しを依頼している側になってしまうわけです。
フルコミ営業の場合でも、社員証を携帯しなければなりませんから、名刺だけで活動を許しているような業者も危険です。
宅建士の免許が使えなくなってしまうかもしれませんので、在籍する会社はきちんと選びましょう。
まとめ
フルコミッションで働く際には、集客の条件がとても重要です。
会社側が反響をとってくれる環境下でのフルコミであれば、かなり条件が良いと言えるでしょう。
自費で広告費を投じなければならない会社は、少しリスクが高くなりますが、歩合率と相殺できるか考えるしかありません。
店を持たず、まずはフルコミという形態で独立するのも、新しいスタイルだと思います。