AIの進化が凄まじい昨今ですが、まだそれほど実感できていないというのが本音ですよね。
でも、AIの進化によって、産業構造は確実に変化していきます。
この波は、不動産業界にも大きな影響を及ぼし始めていくのです。
この記事では、AIによる構造変化と、不動産業界への将来的影響について取り上げたいと思います。
スポンサーリンク
考え始めたAI
私が『人工知能が人間を超え始めた』と感じたのは、将棋がきっかけでした。
一昔前は、コンピューターがプロ棋士に勝てるようになるのは不可能だとさえ言われていましたが、この数年で急激に進化し、とうとう人間が勝てない時代が到来したと感じています。
コンピューターは、自分で考えて成長するようになり、製作者も想像できないレベルにまで達し始めているそうですね。
人間とは比較にならないスピードで、思考と修正を繰り返し、短期間で何百年分もの経験を積むことができるようになったのだそうです。
社会が変化し始めた
少し前に、ダイワハウス工業が「AIで物流を変える」というCMを放映していました。
小気味の良い歌で、役所広司さんが出演していたCMです。
私は、一流企業が高額な広告費を投じてアピールした事が「AIで変える」というメッセージだったことに注目しています。
新商品や企業イメージよりも、全面的に「AIで変わるのだ」というメッセージを発したのは、「それだけ衝撃的に変わる」という自信があるからでしょう。
住宅メーカーの物流が変われば、建築工期やコストに変化が起きるという事です。
配送ルートの効率化等も立派な不動産テックの一つなわけですね。
近い将来、私達はもっと身近にAIの生む効率化を目の当たりにする事になりそうだと思いませんか?
AIがやり始める事
AIが人間の代わりにやり始める事は多岐に渡り、それは膨大な仕事量となっていくはずです。
そして、最終的には重要な仕事をAIに思考させるようになりますよね。
人手不足をAIによる効率化で解消する動きが進み、変化のスピードも上がっていくでしょう。
そうやって、人間よりも正確で優秀なAIが、あらゆる重要な計画等を立案できるようになっていくわけです。
新しいソフト開発等をAI主導で行うようになれば、IT業界にも変化が起きるでしょう。
AIがアイデア立案できるようになれば、人間の思考価値が大きく下がります。
また、マッチングや査定等についても、不動産テック(不動産+テクノロジー)が進み、人間が介入する必要性が低下しています。
VR見学等、行動面でも既に不動産実務上に影響が出てきていると感じます。
建物の設計等についても、希望条件を口頭指示するだけでAIがプランを複数制作してくれる、といった時代は間近だと考えるのが自然です。
AIに感情を持たせる研究もかなり進んでいるそうで、将来はAIが人間のカウンセリングをするかもしれません。
まるで、手塚治虫の描いたような世界がすぐそこまで来ているのです。
Googleインデックス
皆さんは、『Googleインデックス』の意味をご存知でしょうか。
これは、インターネット上に反映された記事やホームページ等が、ネット検索にかかるように登録された事を表す言葉です。
記事やサイトがGoogleインデックスに登録されると、その後はグーグルの独自基準で内容を判断し、検索順位が決定される仕組みです。
これらの作業は、既にAIが作用していますが、今後は更に進化していくはずです。
より良い情報が上位になる基準にすれば、グーグル利用者の増加にも繋がります。
ですから、企業もブロガーも、今以上にこの判断基準に沿った内容を心がけるようになるでしょう。
インデックスの現状
AIの進化によってGoogleでの検索順位がどう変わっていくのかを考えると、未来の不動産業界が少し見えてきます。
まず、現在の状況を簡単に説明しておきますね。
サイト運営等に関わる人達は、自分のサイトを上位表示させるために、四苦八苦しながら推測努力しているのが現状です。
上位に表示されるための新しい要素を、手探りで研究しているような感じです。
訪問者の年齢や閲覧時間等まで計測されていますから、何がどう作用するのかを探るのは難しいのが実情です。
一般的には、閲覧者の検索ニーズを解決するための情報量と構成が重要だと言われています。
企業は、サイト等に顧客に向けた情報を載せますが、その内容が狙ったターゲットに合っているかは別の問題です。
例えば、建売を探している人を集客したいという企業が、「建売 価格」というキーワードで検索する人に向けたサイトを持っていたとします。
でも、実際にはマンションを探している訪問者が、建売との比較をする目的で訪れるかもしれませんよね?
このように、狙ったターゲットが見てくれるようにサイトを構築するには、正しいキーワードの選定が重要になります。
「建売を買いたい」というニーズを持つ人が検索するキーワードは、もしかしたら「結婚式」とか「出産」というキーワードで検索するような人達かもしれません。
つまり、家族が増える人達です。
このようなズレが起こる部分も、サイト運営が難しい理由の一つです。
閲覧者のためになる情報を載せれば訪問者は増えますが、本来のターゲットでは無い人達を呼び込んでも意味がありませんよね。
結果、顧客が絶対に必要とする情報を掲載しつつ、新しい物件情報の更新を意識するといった対策に行き着くでしょう。
すると、同じようなサイトが増え、上位検索がままならないという悪循環なのです。
スポンサーリンク
検索結果の矛盾
閲覧者のためになる記事が上位に表示されるのだとしたら、矛盾を感じるような表示結果だったという経験はありませんか?
上位に表示された記事を読んでみたら、期待外れな内容だったという事があるのではないかと思います。
これは、グーグルのAI判断能力が成長過程である証拠ですよね?
今のAIでは、まだ『客寄せタイトル』や、記事の矛盾点などを判別できないということです。
若しくは、判別はできているけれど、クリックされている実績を重視してしまっているということでしょう。
それに、現状では、検索者の本当のニーズまで反映させることが難しい状況なのだと思います。
しかし、近い将来には、このような部分が解消されていく可能性が高いと思います。
検索順位の将来
AIが、人間よりも高度な思考をするようになると、当然ながら、もっと深い部分まで評価できるようになります。
人間が読んだ時の感情と、そのサイト管理者が過去に書いていた記事内容の整合分析まで行い、サイト全体の信憑性を数値化できるようになるかもしれません。
AIが感情を理解し、思考分析しはじめたら、検索順位は今とは異なったものに変化するはずです。
最近では、グーグルのバナー広告は、その人の趣向に合わせて自動的に表示されるようになっています。
これもAIによるものですが、今後は表示する検索結果もこのような技術が適用されるはずです。
つまり、閲覧履歴から、あなたの好む文章・レイアウト等を分析し、上位表示する機能を選択できるのです。
ですから、検索をする人物によって、上位表示されるサイトが大きく変わる事になります。
将来的には、キーワードではなく「家を買いたい」とか、「辛いものが食べたい」といったニーズから、AIが検索者に最もふさわしいサイトを上位表示するようになるかもしれません。
ビジネスの変貌
ネットビジネスの普及が高齢者まで浸透し始め、誰もが手軽にネット経由での買い物をする時代になりました。
カード会社(JCB)の発表によると、同社でのカード使用額が過去最高を記録したそうです。
物流業界に人手が足りない、というニュースもここに繋がってきますよね。
このように、ビジネス構造の変貌は既に起きていますが、AIの進化によって更に加速するでしょう。
つまり、ネットを制する会社がNO.1になるということです。
もっと言えば、AIに愛される会社です。
企業のターゲットはAIに
企業は、顧客に喜ばれるサービスを目指すものですが、今後は少し戦略を変える会社も出てくるはずです。
顧客を喜ばせるために、AIの評価を得なければならない時代になるからです。
人々がAIを信頼し始めると、ネット上で売られる商品は、物だけではなくなっていきます。
これは、お店の店員に聞くよりも、AIのアドバイスのほうが信頼できるという現象です。
AIは、商品の品質、価格、サイズ、販売元の信頼性等、数ある会社の中から最もお得な買い物をさせてくれる存在になります。
顧客意思で選ぶ機会が減るので、ネットマーケティングにおいても、AI=顧客という認識になっていくでしょう。
始まった構造異変
AIが進化すれば、今までの経済学は通用しない部分も出てきます。
将棋でプロ棋士が負けたように、AIは経済学者達の理論を上回ることができるからです。
これからは、『そんな事あり得ない』という事が本当に起きてくるでしょう。
このところ、株価の動きが激しいようですが、これもAIによる自動売買の影響だと言われています。
アナリストが行っていた株価予想は、既にAIが担うようになってきました。
今後、多くの業界において、人材の意味が変わってきそうです。
つまり、人間は、AIができない作業をこなす存在になっていく可能性が高いという事です。
不動産業界の未来
だいぶ遠回りしてしまいましたが、ここまでの話を踏まえて不動産業界の未来を考えてみましょう。
まず、反響(集客)はどのように変わるでしょうか。
次に、営業マンの役割はどのように変化するでしょうか。
この二つの変化が起きれば、不動産業界は今とは全く違う世界になっていくでしょう。
まだまだ先の事かもしれませんが、今から真剣に考えておかなければならないと思います。
できる限りの想定をし、その時どのような働き方を選ぶべきか考えておいて損はないはずです。
集客変化を考察
現在、インターネットで物件を探す場合には、地域や価格帯等を指定して検索をしますよね。
将来的には、興味のある事や、探している物の情報を口頭入力しておくだけで、自動的に端末へピックアップしてくるようになるのではないでしょうか。
つまり、SIRIのようなiOSに、友達感覚で話をしておけば良いのです。
もしかしたら、『アレクサ、不動産を探して』と頼むだけになっているかもしれません。
アレクサのようなホームツールは、まだまだ問題点が生じるでしょう。
でも、過去の商品がそうだったように、必ず改善されて素晴らしいものが出てきます。
いずれは、全てAIが人間の代わりに探すので、情報の量と希少性等が優先されることになります。
小さな不動産屋の情報でも、消費者に喜ばれる情報ならば拾われるわけです。
物件住所の枝番号を掲載することによって、AIに選ばれやすくなる可能性もあります。
現在、不動産会社は、物件の所在地を正確には公表しないようにしています。
これは、顧客の問い合わせを促すためです。
今後、住所を載せた物件情報は、AIにとって『良い情報』と認識される可能性が高いです。
何故なら、顧客は住所のある情報を優先して表示ほしいと考えるからです。
今後、ネット集客を狙うには、物件所在地を明確にすることが有効になる可能性があるのです。
変化予測①
完全に構造が変わっても、大手サイトには、AIを頼らない人達が訪れ続けるでしょう。
ですから、現在の体裁も維持しつつ改革を進めることは可能です。
大手企業が検索上位を牛耳る構図を避けられれば、小さな企業のネット参加を促進する効果もありそうですよね。
AIは、グーグルと消費者と利用者の全ての利益になる『落とし所』を模索するのではないでしょうか。
グーグルが新しい不動産物件の広告サイトを立ち上げたら、リクルート等の不動産広告事業は激減しそうですよね。
不動産屋は、グーグルに物件登録すればAIが優先的に選ぶだろうと考えますから。
変化予測②
こうなってくると、不動産会社は新しい物件情報を集める力が強みになりそうです。
新しい情報と、顧客に有益な情報が多いHPが上位表示されるはずですから、物件情報以外の不動産知識等を掲載することが大事になります。
「新しい情報」の中には、ブログ等による情報も含まれます。
多くの競合他社が同じ物件を掲載した場合、AIに優先して選ばれなくてはいけませんよね。
そのための差別化(オリジナリティ)は、今まで以上に重要になる気がしています。
HP掲載と広告作業は、不動産会社のメイン業務になる可能性さえあります。
大手では、AI対策の専門人員を抱える会社も出現するかもしれませんね!
変化予測③
AIは、多くの不動産会社が同じ掲載をしている場合、同物件を取り扱っている他の不動産会社の存在も補足表示するはずです。
その際、各不動産会社の特徴等にも判断基準を持って表示するでしょう。
つまり、AIは、企業のHP情報・保有する物件数等を調べ、検索者にとってより良い不動産会社を上位表示する可能性があるという事です。
企業が起こした過去のトラブルや不祥事等も評価に残り続け、風化することがなくなります。
これは、『物件で選ぶか、会社で選ぶか』を効率よく情報提供するということです。
結果、企業のネット注力度が促進されることに繋がり、消費者にもメリットが発生する仕組みとなりそうです。
営業の未来
極端な話をすれば、AIを信用する顧客が増えれば、営業マンは要らなくなっていきます。
自分の利害を考えず、本当に良い物件を紹介してくれるのがAIになれば、誰も営業マンのアドバイスを聞こうとは思わないでしょう。
ロボットホテルが出来たくらいですから、ロボット不動産会社が出来ても不思議ではありませんよね。(笑)
変化予測①
物件の所在地が公開されることが常識化すると、営業マンによる物件案内が減少し、現地販売会での効果が高くなるはずです。
顧客は、自ら足を運ぶ傾向に構造が変化するということです。
営業マンは、物件案内で伝えたかった事を、SIRIやOSを通じて伝える努力をすることになるかもしれません。
今までは、お客様に直接説明していた事を、入力によって達成させる必要も出てくるというわけです。
不動産会社は、新人営業にノウハウを教える必要がなくなり、全てはAIが的確に顧客に説明してくれるということです。
こうなると、実質的に営業マン=AIですよね。
変化予測②
AIの進化によって、ネット反響の質が向上することも予測できます。
手に入らない情報が減ることによって、顧客は自分で物件を見て判断するからです。
AIから基本的な説明も受けられるようになっているかもしれません。
そして、本当に良い物件があった時や、困った時だけ問合せをしてきます。
問い合わせ自体の数は減少するでしょうが、問い合わせがあった時には、かなり具体的な顧客である可能性が高くなります。
ですから、益々ネットでの集客が重要になり、検索順位争いが激化するようになります。
人間の営業マンの仕事は、主に現地調査と契約作業になるかもしれません。
このような未来が来た場合、無駄な仕事は減りますが、広告のために作業する時間が増えそうですね。
変化予測③
AIによる構造変化が完了すると、各不動産会社はこう考え始めるでしょう。
つまり、ブログ等でHPの魅力を出せない会社は、新規の売却案件や新規建売物件の広告権に価値を見出し始めるという傾向が顕著になるかもしれません。
すると、不動産営業の仕事は、『物件の広告権を獲得すること』にも及んで来ます。
他の不動産業者には無い物件情報が、集客において更に重要になるということです。
法改正が鍵
現実として、グーグルが世界的にインターネット市場を独占している状況を良く思わない国家もあります。
それだけ膨大な利益を孕んだ事業ですし、検索順位が一定の企業等に有利になってしまう可能性を懸念しているのでしょう。
そこで、今後は検索順位の表示基準を公開しなければならない等、法規制のメスが入る可能性がありますよね。
インターネットに関する国連のようなものが出来ても不思議ではないと思います。
英では、グーグルを分社化して解体すべきだと言う論調さえあるくらいです。
インデックス順位とは、それほど世界を変えてしまうものなのだと実感する話題ですよね。
まとめ
今回のお話は、三者(グーグル・企業・消費者)全員にとっての利益となり、公平な検索基準のあるべき姿を描いた予測に過ぎません。
実際の所、不動産業界は、まだまだ人の手でしか働けない状況です。
全く同じになるとは言いませんが、ある程度の変化が起きる事自体は間違いないはずです。
AIは、人知を超えていきますから、私が思い付きもしないような、画期的な仕組みを造り出してくれるのかもしれませんね。