誰でも一度くらいは、街にポツンとある古い不動産屋さんを見たことがあると思います。
全くお客さんが入っている様子も無いのに、何故か潰れない不動産屋です。
この記事では、そんな不思議な不動産屋の秘密に迫った体験談をご紹介したいと思います。
きっと謎が解明されて、スッキリすると思いますよ。
小さな不動産屋が潰れない謎
駅から少し離れた立地でも、古い不動産屋は結構見かけますよね。
ラーメン屋さんやアパレル関係のお店等は、比較的に入れ替わりが激しいですが、昔からある不動産屋が潰れたという話はあまり聞かないと思いませんか?
かといって、店舗の改装をするわけでもなく、儲かっている様子でもない不動産屋が点々と存在しています。
私は、土地の仕入営業をしていた頃、この謎の解明に挑戦したことがありました。
とりあえず、訪問をしてみて、内情(経営状態)や仕事の様子などを探ってみるところはら始めました。
こうして、小さな不動産屋を見つけたら、とりあえず見込みが無さそうでも飛び込んでみるようにしたのです。
当時、建売用地を数億円の予算で買える立場でしたから、「大きな土地でも買えるので、売り物があれば紹介してください」と営業をかけていたのです。
すると、この飛込営業をしていく中で、面白いことが分かってきました。
昔からある小さな古い不動産屋には、潰れない理由がきちんと存在していたのです。
-
-
小さな不動産屋への就職でも心配ない?
小規模な不動産屋に就職しようとする場合、「潰れないだろうか」等と心配になる人もいるでしょう。 小さな不動産に入社するのは勇気がいりますよね。 でも、意外な事に、不動産業界では小さな不動産屋のほうが安全 ...
儲かっているから潰れないの?
小さな不動産屋が儲かっていないとは言いませんが、多くのお店において儲かっている様子はありませんでした。
儲かっているとは言えないけれど、やっていける理由があるという不動産屋が多かったです。
正直な感想としては、勝ち負けが極端という印象です。
実際、見かけは古くても、ものすごく儲かっている不動産屋さんもありました。
ですから、答えとしては「儲かっているから潰れない」というわけではありません。
珍しいケースでは、工務店の窓口として不動産屋の看板を掲げていて、実際の仕事は建物を建てる仕事がメインという会社もありました。
儲かっているかどうかよりも、何で収益を上げているかという部分に特異性があることが少しずつ分かってきました。
そうして、何十軒も営業をかけていくと、だいたいのパターンも見えてきます。
もう少し詳しくご紹介していきますね。
[toc]
3つのパターン
私が足を運んで感じたところでは、昔ながらの不動産屋には、主に3つのパターンがありました。
そのパターンを挙げてみると、以下のようなイメージです。
- 経営者自体が地主である
- 経営者が地主と親密にしている
- 賃貸管理がメイン業務である
では、詳しい業務内容を一つずつ説明していきましょう。
1.経営者自体が地主の場合
経営者がそれなりの規模の地主の場合、所有する土地にたくさんの収益物件を持っていることが多いです。
これは、相続対策の為に収益物件を建てることが原因になっています。
何も建物が無い土地と、建物が建っている土地では、後者の方が流動性は低くなります。つまり、建物があることで処分しにくい土地になるということです。
このように、土地に建物を建築することによって、固定資産税や相続時の土地評価額を下げる効果があります。
又、建物を建てる際に借入れをすることで、総資産を借入期間中だけ目減りさせる効果があります。
大きな地主になるほど、このような相続税対策をしている為、たくさんの収益物件を所有することになるわけです。
そうなると、その賃貸物件の管理や募集を不動産屋に依頼することになります。
これを、自分でやってしまおうと思い立って開業したわけです。
相続が起きて、土地を処分することになった際にも、自分の会社で売却することができますから、仲介手数料もかかりません。
要するに、地主が不動産屋を始めるのは、相続税対策の延長というわけです。
2.経営者が地主と親密
不動産会社の社長が、地元の地主と親密にお付き合いしているケースです。
数名の地主さんと付き合っているだけで、1年の仕事に困らないという会社もあります。
総資産が数十億を超えるような地主に信頼されると、資産の組み換えや相続時の資産整理等の他、収益物件の管理と募集だけで十分な利益がとれます。
ですから、一般客を相手にする必要は全く無くなってしまうというわけです。
不動産コンサルティング会社的な立場で大地主とお付き合いをしている会社は、売却案件や管理案件の他、地主が不動産投資として新たに購入する物件の仲介業務等を行っています。
大地主の専任コンシェルジュのような業務をメインにしているケースもありました。
3.賃貸管理がメイン業務
これは前項のパターンにかなり似ていますが、売買などは一切やらない点で異なります。
とにかく、地元の地主さんだけを相手にしており、駐車場管理や収益物件の入居者管理等をやっています。
売り物が出た時には、かつての私のような仕入業者に話を持ちかけます。
大儲けという感じでもありませんが、安定した収益をあげていることが多いです。
また、不動産管理を通じて、土地活用の提案等を行い、建築会社を紹介したりもしています。
建築会社からは、建築費に対して数%の紹介料収入が貰えるので、マンション等の大きな収益物件の際には、それなりの金額になります。
管理物件のリフォーム等においても、リフォーム会社からフィーバックを受領している為、一年を通じて食べていくだけの利益はあるわけです。
まとめ
昔ながらの不動産屋さんは、主に収益物件の管理を中心に、地主や仕入業者を相手に商売をしていました。
中には、税理士と組んで、相続対策の相談等も請け負っているケースもあります。
とにかく、地元で長く営業している不動産経営者は、地元の大地主等との繋がりを持っていて、それを活かして食べているわけです。
また、自分自身が大地主であることも珍しくありません。
これで、古びた不動産屋が潰れない謎が解明できたのではないでしょうか。